山間の小さな拠点づくり、地域住民の生活維持 栗原議員
地域に分散している生活に必要なサービスなどをつなぎ、人や物、サービスの循環を図ることで山間地域住民の生活を支える新しい地域運営の仕組み「小さな拠点」。飯能市は、平成28年度からのまちづくりガイドラインである第5次総合振興計画や第3次山間地域振興計画にこの小さな拠点づくり整備の検討を位置づける。
市議会一般質問で栗原義幸議員(公明)が、同拠点設置推進の考えについて執行部を質した。同議員は「市内1か所を選定して、モデルケースとして推進したらどうか」と提案した。
栗原議員 「小さな拠点」の推進については、ご承知のとおり、国の「まち・ひと・しごと創生法」の中で、特に山間地域等を主眼とした集落ネットワーク圏の形成をうたい、集落を継続可能なものとしながら、地域定住支援、活性化をめざすもの。
本市においても上位計画の第5次総振、飯能市創生プログラム山間地域振興計画等々、文言を盛り込み、山間地域における小さな拠点設置推進の方向性が明らかとなった。本市の目指すべき「小さな拠点」設置推進の概要を聞かせてほしい。
平松宏之企画総務部長 全国的に人口減少や高齢化の進行により、住民の生活に必要な生活サービスや機能を維持できなくなっている地域がある中、人々の暮らしを守り、地域コミュニティを維持していく持続可能な地域づくりを目指すための取り組みとして、「小さな拠点」づくりに注目が集まっている。
「小さな拠点」とは、小学校区など複数の集落が集まる基礎的な生活圏の中で分散しているさまざまな生活サービスや地域活動の場などを繋ぎ、人や物、サービスの循環を図ることで生活を支える新しい地域運営の仕組みを作ろうとする取り組み。
本市は、広大な行政区域面積を抱え、市街地・田園・丘陵・山間地域と多様な形態を有しており、それぞれの特性を生かしながら、地域住民が主体となって個性豊かなまちづくりを進めている。
今後、さらなる人口減少や少子高齢化の進行が見込まれる中、それぞれの地域の持続的な発展を維持しいくためには、本市においても「小さな拠点」づくりの検討は必要と考え、第5次総振等計画に位置付けた。特に人口減少が著しい山間地域を中心として、地域の皆様とともに検討を進めてまいりたい。
栗原議員 「小さな拠点」を設けると言っても、従来からの集落の成り立ちや生活圏を大きく変えることは現実的ではない。従来より慣れ親しんだ生活拠点や地区行政センター、小中学校との地域コミュニティのインフラとして継続していくものが基本、有効である。
その上で、基本となるものは何か。地域に求められているものは何か。ともに考え、ともに作り出す必要がある。地域の同意のもと推進する取り組みである。これからの山間地域の活性化に必要不可欠なものと認識している。
そこで、方法の一つとして市内のある地域や集落を1か所選定し、モデルケースとして推進するのも良いのではないか。国の交付金措置も可能となることから、本市においても積極的な検討を期待する。そこで、重要な課題として拠点を置く地域からネットワーク圏域となる周辺集落との連携、移動支援、足の確保がある。この点について、実際にどのような方法が考えられるのか、具体的な考えを聞きたい。
平松企画総務部長 「小さな拠点」づくりを推進するにあたっては、地域の皆様とともに地域の将来のあるべき姿を考え、新たな仕組みを作り出す姿勢が何よりも重要。そのため、十分に時間をかけて地域の人々の暮らしを今後も維持していくためになにをしていくべきかを考えていきたい。
その進め方として、議員ご提案のように特に地域の皆様の機運が高まったところをモデルケースとして先駆的に取り組み、その成果を他の地域へと波及させていく手法は効果的と考える。
また、拠点を置く地域と周辺集落を繋ぐ移動手段については、同時並行で一体的に考えていかなければならない重要な課題。
国のガイドブックでは、その一例としてコミュニティバスやデマンドタクシーにより集落から拠点へのアクセスを確保する方策が示されているが、本市では地域ごとに状況が違うので、来年度から新設される全市的な交通政策を所管する生活安全課交通政策室、あるいは地域活動支援課等々が連携を図りながら、「小さな拠点」づくりにおける移動交通の検討を進めたい。